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音楽の旅人
YAMAMOTO
ヴァイオリニスト
art gallery ONは、「温」――ぬくもりを感じられる場所でありたい、という思いから生まれたギャラリーです。「ここを訪れる方に、温かさや安らぎを感じていただき、そこからそれぞれの感性や世界観を広げていただきたい」。そんな願いを込めて、これまで絵画やアート作品、造形、インテリアなど、さまざまな表現を紹介してきました。
そしてこのたび、素敵なご縁をいただき、art gallery ONでは音楽という表現も発信していくことになりました。その新たな試みの第一歩としてご紹介するのが、ソウル/R&Bシンガー、ギタリスト、ヴァイオリニストのJACOB YAMAMOTOさんです。
JACOB YAMAMOTOさんは、「唯一無二に生きる」という思いを大切にしながら、ご自身ならではの表現を追求し続けているアーティストです。何かの枠組みに自分を合わせるのではなく、自分自身を磨き、自分にしか出せない音、自分にしか宿らない表現を形にしていきたい――そのまっすぐな姿勢が、音楽の根底に流れています。
その歩みは、決してひとつのジャンルだけにとどまるものではありません。中学時代に始めたヴァイオリンを通してクラシックの奥深さに触れ、そこからアコースティックギター、ブルース、ジャズ、フュージョン、民族音楽へと関心を広げ、やがてブラックミュージック、とりわけR&Bやソウルへとたどり着きました。そうした幅広い音楽遍歴が、JACOB YAMAMOTOさんの歌声や演奏に、確かな技術だけではない深みと説得力を与えています。
歌は、ただ音程が正しければよいのではなく、その人の人生や経験、思想、生き方までもが、声や音色ににじみ出るもの――JACOB YAMAMOTOさんは、そのように音楽と向き合っています。だからこそ、その表現には、耳に心地よいだけでは終わらない、内面に触れてくるような温度と余韻があります。オーナーがその歌声と演奏力に魅了されたのも、まさにそのためでした。
art gallery ONでは、そんなJACOB YAMAMOTOさんの音楽を、ギャラリーでのナイトライブというかたちでお届けしてまいります。アート作品に出会うように音楽と出会う、そのひとときをお楽しみいただければ幸いです。
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魂で届ける
音楽
挑戦の舞台であり、始まりの場所
- オーナー
- 現在、中洲を中心にストリートライブをされていますが、福岡という街で歌うことは、JACOBさんにとってどんな意味がありますか。
- JACOB YAMAMOTO
- 僕にとって福岡は、もともと活動していく上でひとつの目標として見据えてきた街です。もちろん、もっと先には自分が目指している高い場所がありますが、その道のりの中で、福岡はとても大きな意味を持つ場所だと感じています。福岡には、たくさんの才能ある方々がいて、これまでも素晴らしいアーティストを数多く輩出してきました。そんな街の中で、自分がどうやって存在感を放ち、人々の記憶に残るアーティストになっていけるか。そのことを強く意識しながら活動しています。
また、今ストリートライブをしている中洲には海外の方も多く、福岡にいながら国際的な交流が生まれるのも、この街ならではの魅力だと思います。実際に、アメリカや台湾から来られた方とお話しする機会もありますし、音楽を喜んでいただけることに大きなやりがいを感じています。僕にとって福岡は、憧れでもあり、挑戦の舞台でもあり、ここから何かを始めていく起点のような街です。
- オーナー
- この街のオーディエンスや、他のミュージシャンについて感じていることを教えてください。
- JACOB YAMAMOTO
- 福岡の方々は、本当に温かいと感じます。感受性の豊かな方が多くて、演奏のあとに「感動しました」とか、「今日は嫌なことがあったけれど、心が癒されました」と言っていただけることがあるんです。そういう瞬間に、音楽をやってきてよかったと心から思います。僕が向き合っているソウルやR&Bは、ただ綺麗な音を届けるだけの音楽ではないと思っています。その人の人生や経験、生き方までが音ににじむものだと思っているので、表面的な音ではなく、自分の心そのものを届けたい。その思いが福岡のお客さまに伝わったと感じられる時は、自分にとって本当に大きな喜びです。
一方で、福岡のミュージシャンとの交流は、実はあまり多くありません。今の僕は、自分独自のスタイルで、自分のやり方で表現を磨いていくことを選んでいるからです。とくに路上というのは、ある意味“野生”の環境です。そういう場所で鍛えながら、自分だけの表現をつくっていきたいという思いがあります。ただ、福岡が多くの素晴らしいアーティストを生んできた街であることに変わりはありません。だからこそ、いつかその先輩方に負けない存在感を放てるようになりたいと、本気で思っています。
- オーナー
- いま、中洲でストリートライブをされていますが、これからart gallery ONで挑戦したいことはありますか。
- JACOB YAMAMOTO
- 中洲で歌うことには、自分の中で大きな意味があります。あの場所には、最初から音楽を聴きに来ているわけではない方もたくさんいます。そういう中で、自分の世界観でどれだけ人の心をつかめるか。中洲でのライブは、僕にとってそういう意味での修行の場なんです。その一方で、art gallery ONでライブをさせていただくことには、また別の大きな意味があります。アートや美術、表現そのものに関心を持ち、感受性を大切にされている方々に、自分の音楽を届けられる。それは僕にとって本当に嬉しいことであり、新鮮な挑戦でもあります。
僕は、美術も音楽も、あるいはスポーツも、ジャンルは違っていても本質的にはつながっているものだと思っています。何かを深く追求していくこと、その先で本当に大切なものに近づこうとすることには、共通するものがある。だから、アートに心を動かされる方々に音楽を届けられることには、とても大きな意味を感じています。僕自身、音楽には心も魂も込めています。だからこそ、真剣に受け止めてくださるお客さまに対しては、こちらも本気で魂をぶつけたい。中洲とはまた違う意味で、自分自身にとっても深い学びの場になると思っていますし、これから本当に楽しみにしています。
そっと寄り添える音楽でありたい
- オーナー
- 自分の歌、演奏が、聴く人のどんな瞬間、どんな場面に寄り添えたら嬉しいですか。
- JACOB YAMAMOTO
- 音楽に対する考え方は人それぞれだと思いますが、僕は、単にテクニックがすごいからいい音楽だとは思っていません。もちろん、技術を磨くことはとても大切ですし、そのための努力は欠かせません。でも、それだけでは届かないものがあると思っています。その人がどんな人生を歩み、どんなことに苦しみ、何を感じてきたのか。そういう思想や生き様が、声や音には表れてくるものだと思うんです。
僕自身、幼少期からさまざまな経験をしてきましたし、不登校だった時期もありました。だからこそ、孤独を感じている人や、心に傷を負っている人、人生の中で苦しさを抱えている人に、自分の音楽が少しでも寄り添えたらと思っています。聴いた人が、ほんの少しでも勇気を持てたり、温かい気持ちになれたり、「明日からまた少し頑張ってみよう」と思えたりしたら、それ以上に嬉しいことはありません。僕は、傷ついた時に音楽に救われてきました。だから今度は、プレイヤーとして、誰かの心を少しでも癒やす側に回れたらと思っています。すごい技術を見せることよりも、心でやっていることがちゃんと届くこと。僕にとって一番大切なのは、そこです。
- オーナー
- 5年後の自分をイメージすると、どんな景色が見えますか。
- JACOB YAMAMOTO
- 5年後、自分が少しでも「本物」に近づいていたいと思っています。少し抽象的に聞こえるかもしれませんが、僕にとってはとても大事なテーマです。僕の座右の銘に、「龍吟ずれば雲起る」という言葉があります。龍が真に龍であれば、自然と雲を呼ぶ。つまり、自分自身が本物になりさえすれば、状況や評価は後からついてくると信じているんです。だから僕は、名誉やお金といったものを先に求めるのではなく、まず自分が本物になることを求めています。そして、その“本物”というのは、単に歌や演奏の技術が優れているということだけではありません。音楽における本物は、もっと深いところにあると思っています。
僕が向き合っているのは、ブラックカルチャーに根ざした音楽です。だからこそ、本場の人が聴いても「これは本物だ」と感じてもらえるような音楽性を持ちたいですし、同時に、人の心にしっかり届く表現者でもありたいと思っています。僕自身、これまでずっと“本物”を意識して生きてきました。音楽を聴く時も、できるだけ本物に触れていたいという思いで、自分が取り入れるものを厳選してきました。その感性を大切にしながら、5年後には今よりもさらに本物に近づいていたい。その先の景色は、きっと後からついてくると信じています。
色を感じてほしい
- オーナー
- 最後に、これから初めてJACOBさんの歌や演奏を聴く方に、どんな一言を届けたいですか。
- JACOB YAMAMOTO
- 初めて僕の歌や演奏を聴いてくださる方には、ぜひ“音”だけでなく、そこにある世界観も含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。楽しみ方は自由だと思います。演奏している時の表情や空気感、その場に流れる時間も含めて感じてもらえたらと思います。僕はギターでもアドリブを大切にしていて、その時の空気によって、演奏やメロディーが毎回変わります。だから、同じ曲でもまったく同じ演奏にはなりません。
いまはAIやコンピューターミュージックのように、非常に完成度の高い音楽があふれている時代です。でもその一方で、人間だからこそ生まれる揺らぎや、時にはミスさえも含めた生々しさ、温かさがあると思っています。そうした、その場だけの味わいを感じていただけたら嬉しいです。そして何より、僕にしか出せない色を感じていただきたい。同じ曲でも、JACOB YAMAMOTOならこう表現する――その違いや存在感を、ぜひ受け取っていただけたらと思います。