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特別対談
芸術が
  紡ぐ縁
堀澤大吉(画家)× art gallery ON
堀澤大吉 PROFILE
art gallery ONでは2024年3月、当ギャラリー初の展覧会となる「画家堀澤大吉〜ノスタルジックな世界展2024」を開催しました。生まれたばかりのこのギャラリー空間がアーティストにどのように受け入れられたのか、そして、今後この空間をどのように育てていくべきなのかという思いを抱えながら、堀澤大吉さんが在廊されたとある一日、アーティストの視点から私たちの取り組みや空間についての感想、そしてギャラリー運営に対する貴重なご意見を頂戴しました。
アーティストと一緒になって、
多くの人と感動や温もりを共有できる
素敵なギャラリーに育てたい
オーナー
私が堀澤さんの作品と出会ったのは2023年の春のことでした。知人から「ウサギの絵を描くアーティストの展覧会が開かれている」という情報を耳にした時の直感を信じ、「行くべき」と須恵町立美術センター久我記念館を訪れたのです。
堀澤
その時、初めてお会いしたのですが、オーナーから作品について質問を受けたり、答えたりするうちに、まるで古くからの知り合いのような親しみを感じ始めました。
オーナー
その通りです。私たちの会話は尽きることなく、「あ、わかる、わかる」という感じで、すぐに意気投合しましたね(笑)。
堀澤
私たちは同じ価値観を共有していると思います。ものの見方や考え方が、とても似ていると感じました。私のアートは「擬兎化(ぎとか)」といって、実在の人物をウサギに見立て、モデルの表情や性格、さらには内面の動きを描き出すという試みです。作品を通して、懐かしさや幸福感、時には切なさを感じてもらい、穏やかな優しい気持ちに浸っていただければと思いながら描いています。オーナーはその本質を理解してくれた方です。さらに、作品を購入してくださったことも、大変嬉しく思っています(笑)。それは、私の絵に対する大きな評価であり、画家にとってすごく重要なことなんです。
談笑する堀澤大吉氏
堀澤大吉氏
オーナー
堀澤さんの作品を観るたび、自分がストーリーに入っていくんです。ウサギが動き出すような、そんな感覚を絵で表現しているのを見て、「こんな絵を描く人だから本当に心がピュアな方なんだ」と思いました。堀澤さんの作品の一つ一つには物語があり、それぞれが「この世界に行きたい」と思わせるような魅力を持っています。そんな作品は、堀澤さんのように純粋な心からしか生み出せないと感じます。
堀澤
ありがとうございます。ところで私は九州産業大学の芸術学部で学んでいたのですが、ここ香椎にはわずかながらギャラリーが存在しました。しかし、都市計画によりそれらは消え去り、ギャラリーや画廊は私にとって少し遠い存在になってしまいました。オーナーが購入してくださった私の絵をお届けに上がった時、初めてこのギャラリーに案内していただいたのですが、私の持っていたギャラリーのイメージとは異なる親近感を感じました。アーティストはもちろんのこと、染物や編み物などをなさっている方、さらには芸術学を学ぶ学生たちにとっての展示の場となり得る開放的な空間であると思います。JR香椎駅からほど近いこの立地を活かして、地域に愛されるギャラリーへと発展することを願っています。
オーナー
このギャラリーは、従来のギャラリーのイメージとは異なります。誰もがアートに触れられる場を目指しています。ここは開かれたコミュニティであり、アートを通じて人の心が温かく交差する場所でありたいと思っています。
堀澤
ギャラリーに足を踏み入れた瞬間、コンクリートの打ちっ放しの壁と明るいガラス窓から差し込む自然光が、ここが持つ独特の魅力を際立たせています。この開放感は、新たな芸術体験を提供し、私たちアーティストにとっても新しい挑戦の場を提供してくれます。どんな形でも、自分の作品をじっくりと見てほしい。その願いを叶えてくれる場所が香椎にできたことが、本当に嬉しいんです。
オーナー
画家歴の長い堀澤さんからそのようなお言葉をいただき、とても励みになります。art gallery ONはまだ生まれたばかりのギャラリーです。これからもアーティストの方と一緒になって、多くの人と感動や温もりを共有できる、そんなギャラリーに育てていきたいと思います。この度は貴重なご意見をいただきありがとうございました。